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図形と世界をつなぐ



「図形」は形とそれに関わるものを知ること。目に見えるものは全て形があるこの世界で、「図形」をキライになってしまうのは、世界を見ないようなもので、それは悲しいことだと思いませんか。

図形の「勉強」は小学校1年生で始まります。でも、授業の中でのお勉強だけでなく、できるだけ、たくさん、いろいろな感覚を使って体験することで、「授業の中のお勉強」、「教科書の中のこと」に留まらず、図形の力が子どもの中で生きて育ちます。



どうやって図形を「体験」する?

図形の中でも一番完璧な形「円」を例にとってみましょう。

子どもの円体験の始まりは、空に浮かぶまん丸な月にどきどきする心。まあるい果実を手の中に包み込む感覚。車のタイヤが丸いこと。身近なところに円を見て、その質とその完璧さを受け止めています。車のタイヤが、完璧に丸くなかったらうまく走らないことも感じて知っています。
・・・自然に触れたり、手づくりをする機会を増やすことで、幼児のうちから「形」を感じる体験を増やしましょう。


幼稚園でみんなで円になってお遊戯をしました。(シュタイナー幼稚園で、ライゲン、サークルタイム、オイリュトミーなど)みんなで協力して輪(円)を作りました。シュタイナー幼稚園(学校)で輪になるとき、それがとってもきれいな円になるように細心の注意を払います。でこぼこになっていないまん丸です。友だちの立ち位置と比べて自分の場所をちょっとだけずらしてみたり、そうしたら他の友だちがちょっと動いてまた形が変わって。何人もの意志でもって1つの輪を作る過程は、コミュニティとしての共同作業です。子ども達は円をつくることで、円という形を感じ、小さな社会を体験しています。
・・・輪になる時に、ただ手をつなぐだけでなく、できるだけきれいな輪を作るように気をつけましょう。感覚を研ぎ澄まして円を感じる体験です。

円になって円周を歩きました。いつも同じ方向へ曲がり続けていないと円になりません。円の中心の方へ引っ張られる力、円の中心方向ばかりではなく、円の外側へ向かっても引っ張られるような微妙なバランスを体験します。言葉での説明などなしでいい。子どもは、ただ円周を歩くというだけの動きから、円という形のもつ質を強烈に体験していて、もちろん、後の物理学などへもつながっていく体験です。
・・・ただ、円を歩くことに集中してみる。円を「歩く」という体験。


粘土で球を作ります。球は円の発展形。円と同じクオリティを立体にしたものです。どこから見ても球であること、へこみがあったり、平らなところがあったりしないこと、内側からも外側からも、完璧なバランスのとれた理想の形です。
・・・自分の手で、円や球を作り出すという体験。


お皿などの丸いもののふちを、指先でなぞってみましょう。目を閉じてみると何が感じ取れるでしょう。
・・・自分の触感で円を感じる体験。


円を腕で大きく描く。小さく紙の上に描く。紙いっぱいに描く。円は円でしかなくて、誰がどうやって描いても円のはずなのに、どの体験も違う。
・・・円を描くのもバリエーションで違った体験になる。

ひとつの形である「円」を、「はい、この形のことを円といいますよ」と教わって覚えるのではなく、とことん、全身で体験をすることで「円」という形がうすっぺらな単なる形で終わらず、深い質のある学びになります。そして、他の学問へつながり、世界へ繋がって行きます。

円の体験は世界から始まりましたね。身近にある世界の中から見つけ、体験したんでした。世界から形を学ぶ。それは自分の成長を通して、やっぱり世界へ繋がって行く。一点ごとのポイント学習でもなく、一方通行の学習でもなく、全部がリンクして繋がり合って、グルグルまわりながら「世界」を学習していきましょう。


2011.8






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