シュタイナー教育の数学教室 楽しく深く学べる数学 考える力をつくる数学オンラインプログラム

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「成長する」ことと「役に立つ」こと



「どうして数学を勉強しなきゃいけないの?」
何度もこの言葉を聞きました。

「数学なんて勉強したって、将来使わないよ。」
「電卓使えれば買い物できる。それで十分。」
「理系行かないから、もう数学いらない。」

ほんとうのところ、数学は役に立つでしょうか。

私は、自信をもって言います。
数学は役に立ちます。と。

ただ、どのように役に立っているのかが見えにくいです。買い物で足し算引き算していることは直接的に見えるのですが、方程式だの関数だの(その他諸々)は、直接仕事に使うとかでなければ、使っているという実感はないでしょう。

実感がないのですが、意識しないところで使っているのが数学の力です。

小学校の算数では、算数はとても具体的でした。
数も数えられたし、分数だって小数だって、実際に絵にかくこともできて分かりやすかった。長さや重さだって、目で見て明らかに分かるもの。割合だって見えます。

中学に入り「算数」が「数学」になります。最初に学ぶのは負の数です。中学生になったとたん、具体的でないものに出会います。だって、マイナス5個なんていう個数はありません。マイナスの数は、実際に見えない、抽象的なものなのです。

どこからマイナスの数がきたかというと、人間の頭です。人間が考えて、マイナスの数をつくりだしたのです。

中学校では抽象的な「概念」の世界に入ります。実際には見えないし、手に取ることもできない、でも、考えると確かに存在するもの。そして、それが人間を進化させてきたものです。社会や人間の暮らしを発展させてきたものです。

思春期の頃に育ててほしいのは、その「考える力」です。誰かの言ったこと、発明したことを理解するだけでなく、自分自身が考え、その思考力で自分の考えをもつこと、新しいことを考えることができるようになること、それこそが数学を学ぶ目的だと思っています。

方程式の解き方などは、いずれ忘れてしまうかもしれません。でも、数学を学ぶときに頭をひねって考えたことは、自分の力になります。スポーツするときに筋トレなどで体力や筋力をつけるのと同じように、考える脳みそそのものに力をつけます。

考え方そのものを覚えているかということよりも、その考える基盤を作ることこそが大事だと思っています。数学を「直接使わない」「意識して使うことがない」仕事をする人であれば、特にその目的は強くなります。

そう数学を学ぶ目的を考えたとき、学び方が変わります。テストを目標にしたときとでは、全く違うアプローチになるのです。

人間は誰でも、成長したいという本能的な欲求があります。究極の喜びは、「学んでいる」という感覚です。学ぶことによって、「より賢くなっている」「力がついている」ということを感じ取ること。その欲求を満たすことができる学びは、究極の「役にたつ」ものなのです。

テストで良い点を取ると、良い結果に喜びはします。点数を動機にして勉強することもできます。でも、良い点がとれたからといって、ほんとうに「成長」しているのでしょうか。「成長」していないとはいいませんが、「成長」しているとは感じられません。誰よりも、子ども自身が、「成長」とはちょっと違うと知っています。子どもは大人よりも真実を感じ取っていますし、感じたことをごまかしません。

本当に「歓び」になるような学びをして欲しい。そう願って、このプログラムを創っています。



2012.2







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